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甘くて、強引。
決定権は向こうにあって、従う義務もないのに結局私は、惹き寄せられる。
「終わったら、亨んとこの駅まで行く。終わって秋生さん送ってからだから、夕方近くになるけど」
「ん、わかった。それまで寝てる」
秋生さんがまっすぐ帰ると言えばもう少し早く終わるけれど、もしもどこかに寄りたいところがあれば遅くなるかもしれない。
だから、時間に少し余裕を見て伝えた。
切れた携帯をコートのポケットに戻して、目の前をさっきからちらりちらりと落ちる粉雪に余計に寒さを煽られる。
甘くて、強引で、ヤキモチ妬きで
あの、キスの優しさだけ感じていられれば良かったのに。
なぜ、見たくないものばかりが目の前をちらつくんだろう。
輪郭など見えなかった亨の過去に相田先輩の姿が見えて、また胸の焼けつくような吐き気を感じた。
この雪が、この胸の不快な熱も冷やして消してくれたらいいのに。
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