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「お母さんずっと働いててかまってやれなかったことずっと後悔してるんだよ。すっかりお祖父ちゃんっ子になったのが悔しいんだ」
「何それ、子供みたい」
「子供みたいで悪かったわね」
母がお茶を入れた湯呑を三つ運んできて、会話に加わる。
少し拗ねて唇を尖らせるあたり、年齢考えて欲しい……とか思いつつも、私もよくする仕草だな、とふと思った。
「あんた、お祖父ちゃんが亡くなった時も、大泣きして手に負えなくて……ほんと、この子大丈夫かしらと心配したわよ」
「そうだっけ?」
ずず、とお茶をすすりながらそう言って惚けたけれど、本当は良く覚えてる。
高校3年の夏、前日まで元気だった祖父は脳内出血でそれはそれはあっけない最期だった。
看護婦さんが綺麗に処置をしようとしてくれているのに、私は縋り付いて離れなくて、ついに部屋の外に出されてしまった。
「廊下でもひどい大声で泣き喚いてて、あんた男の子にずっと背中撫でてもらってたの覚えてる?」
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