1617人が本棚に入れています
本棚に追加
そしたら、今度は沈黙だけになった。
信用、できないか?
嘘つかれて、そう簡単信用できるわけない。
亨は元より、女慣れしてて私よりずっと余裕で、大人で、私一人が不安で……こんなの不公平だ。
悔しくて下唇を噛み俯いていると、正面から深いため息の音がして胸が痛かった。
こんな話、私だってしたくないのに。
涙が零れそうになるのをじっとこらえていると、手が伸ばされて私の頬に触れた。
それでも、私は顔をあげられなかった。
「ごめん。なんでも聞けよ、何を聞いたら不安じゃなくなる?」
優しい声音。
顔を上げると、亨が私の方へ身を乗り出してその親指が頬をさする。
怒ってるかイライラしているのかと思っていたのに……急に優しくされて、油断すると涙が零れた。
最初のコメントを投稿しよう!