酷いのは、誰。

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私は身体の力が抜けて、テーブルで腕を組むとその中に顔を沈めた。 あんなに、あんなに悶々とさせられたのに。 「……なに、それぇ」 「こっちのセリフだよ、何お前。そんなことまで気にしてたのか。言えよ」 こればっかりは亨も予想外だったのか、呆れたような声で言われた。 ほんとだよ、聞かずに一人で悩んで馬鹿みたいだ。 「はー……他には?」 「他……ってか、ずるくない? よくよく考えれば……質問させて答えるなんて、私が質問しないことは話さないってことじゃん」 「お……いいとこに気付いたな」 私が聞くんじゃなく、亨の方から言って欲しい言葉だってある。 それに、そうやって笑い話で済まそうとするとこもずるい! かといって……その方がきっと良い。 だっていくら追求したところで、私は亨から離れたくない。 だから、苦しいんだ。 せめてもの腹いせだ。 ぱっと勢いよく顔を上げると、涙とマスカラで汚れたおしぼりを亨に向かって投げつけた。
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