酷いのは、誰。

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電車を降りて改札に向かうと、すぐ向こう側に亨が立っているのを見つけた。 彼もすぐ、私の姿を見つけて小さく手を上げてくれる。 改札を抜けて、駆け寄った。 「お待たせ」 「お疲れ。何か食べに行こう」 「うん」 する、と私の手に彼の手が絡む。 「冷えてるかと思ったら、温いな」 「電車の中、暖房効きすぎて暑いくらいだったよ」 亨の手は、少し冷えて指先が冷たかった。 繋いだまま、彼のコートのポケットの中に私の手も連行される。 カイロ替わりにするらしい。 歩き始めて、どこか車の止めてあるとこに行くのかと思ったら、飲食店の並ぶ通りに出る。 1月の日没は早くもう周囲は薄暗がりで、街灯や店の灯りが目立ち始めていた。 「あれ、今日は車じゃないの?」 「大した距離ないし。……たまには、歩くのもいいだろ」
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