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「先輩は仲直りしないんですか?」
最初は私が気に入らなかっただけだとしても。
今はもう本気で矢野さんが好きだからじゃないのかって、私は、そう思っている。
だから、あの日私に亨ともう一度話すよう促したんだ。
「余計なお世話よ」
「ですね、でも私一つ思い出したことがあって」
出口に歩き始めた先輩の足を、私の言葉がまた引き止める。
背を向けた彼女が、こちらを振り向いて目が合うのを待ってから、言った。
「矢野さんとどういう喧嘩をして距離を置いてるのか知らないけれど、矢野さんはずっと知ってました。先輩がほんとは性悪なの」
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