epilogue

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亨が少し眉根を寄せて、不機嫌そうな顔をする。 「……何、またなんか言われた?」 「ん? 何も。ねぇ、亨」 人ももう少ない社内、誰かとすれ違う可能性も少ないのだけど。 まだ繋ぐのは躊躇う手が、互いの間で手の甲だけを僅かに触れ合わせる。 「矢野さんが先輩と距離を置いてる理由、何か聞いてる?」 「あー……詳しくは聞いてない。けど、向こうから来るのを待ってるってのは言ってた」 「やっぱり」 先輩にああいった手前、少し安心した。 社外に出ると、急に冷えた空気が頬の肌を刺激する。 冷える前に、するりとどちらからともなく指先を絡めあった。
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