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「結婚したら毎日こんな目に会うかもな」
「……え。けっこんっ?」
思いもよらない単語が出てきて、ぐるんと顔ごと彼の方を向く。
緩く停車してサイドブレーキを引いた彼が、ハンドルに腕を乗せ本気とも冗談とも判断のつかない笑顔で私を見た。
伸びてきた手が私の横髪を撫で、耳にかける。
彼は以前から、こんな甘ったるい顔をしていただろうか?
見つめられると目が離せなくて、頬に集まる熱を自覚したころ。
「着いたけど?」
「え?」
「降りねぇの?」
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