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「ならない……っていうか。彼が話さないなら、私は知らなくていいことなんだって思うことにしました」
そう言うと、なぜだか悔しそうに、唇を噛む。
この人は、私にどういう反応をしてほしかったんだろう。
さすがに、私だって馬鹿じゃない。
亨が話さなかっただけで、憶測はできている。
少なくとも先輩が、亨が私に心変わりしたのだと思っているんだろうことは確信している。
だが……今はもう、亨のことは好きじゃないと言っていた。
それもきっと、本当のことだと思うのだ。
「……良かったわね」
それだけ言って、私の横を通り出口へと向かう彼女に、私は尋ねてみたくなって声をかけた。
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