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夕方近くなって、今度は少し長めに鳴らしてみるがやはり反応はなく舌打ちをしながら携帯画面を見下ろした。
もしかして……ただ距離を置いただけのつもりだったのは俺だけで。
春妃からすれば、もう終わった話なのだろうか。
どこか生真面目な春妃のことだからこんな中途半端な状況を「別れ」とは見做さないだろうと、そう思い込んでいたが。
不意に今まで思いもしなかった可能性が頭を過ぎり、愕然とする。
いや……春妃の性格から考えてそれはない、と自分に言い聞かせるがやはり焦りは隠せなくて続けざまに発信してしまった。
が……つながらない。
諦めて、兎に角図書館に行ってみようと立ち上がった時だった。
手の中の携帯が、着信を知らせて振動した。
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