1816人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「惚けないで下さいよ」
深いため息が頭上で聞こえた。
二人のやりとりの意味がわからなくて、私は黙ったまま首を傾げる。
それが亨の腕に伝わったのか、私の頭を解放して見下ろしながら言った。
「お前、もう仕事戻れ」
ぴん、と額を弾かれて一歩後ろに下がる。
「え、やだ。話が見えないままだもん」
「後でちゃんと話すから。時間ヤバいだろ」
言われて、慌てて腕時計を確認する。
そうだ、休憩に出てからもう随分時間が経ってしまっていた。
最初のコメントを投稿しよう!