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「なんでだよ!」
「やだってば」
亨も面白がって無理やり顔を近付けるから、徐々に押し倒されるような格好になる。
私も笑いながら亨の顎を押し返したりして……端から見たら馬鹿なカップルだと恥ずかしい目で見られそうだ。
そう思った途端、さっき私達が出てきた鉄の非常口が突然開いて、女の人が顔を出した。
「……間宮くん。こんなとこで何やってんの」
「あ、悪い。ちょっと休憩してた」
いちゃついた体勢のまま、固まってしまって私は何も反応できなかったが、彼女のことは良く知っている。
亨と同じ部署の、安藤さんだ。
「いちゃついてないで、早く仕事に戻ってよ」
そう言った安藤さんの目は、ものすごく冷やかで、間違いなく私に向けられていた。
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