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「あっ、まだ見てるのに！」
美佳の声を無視して、私はパンフレットを閉じて芹沢さんに差し出した。
「ありがとうございました、お返しします」
「あげるよ」
「いりません」
パンフレット一つ、この人から受け取るのもいやだ。
亨は予定よりも少し早く、一昨日から現地入りしている。
彼がいなくなったら、芹沢さんが何かしてくるかもしれない、とは思っていたけど。
大胆にも、彼は亨の出張の予定なんかお構いなしだった。
彼がまだ出張に出る前から、何かと昼に誘われたり夕方上がり時間を見計らって受付に来たり。
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