手を伸ばす、その先

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食事を終えて後片付けをしている後ろで、亨が食後の珈琲の用意をしている。 コポコポという音と一緒に珈琲の香りが漂い始めて、ふわりと背中が暖かくなる。 背後から抱きついてきた亨が、私のお腹に腕を回して耳許で囁いた。 「今日は泊まってって」 「……うん」 ほんとは、亨も疲れてるだろうし今日は帰ろうと思っていたけど。 明日は亨はお休みだけど私は仕事だし、明後日にはまた彼は出張に行ってしまう。 催事の話や準備が整ったら、後は現地にあるうちのメーカーの店舗から販売員が派遣されるらしいから、そう長くはならないらしいけど。 それでも寂しい。 何よりも、聞けなかったけど多分安藤さんも一緒なんだろう。
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