手を伸ばす、その先-2

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帰って来れない、というショックと。 ああ、やっぱり安藤さんも一緒に出張だったんだ、と薄々わかってはいたことにも地味に衝撃を受けたけれど。 「わかった……」 他にどう言えば良いというんだ、お手本があるのなら誰か教えて欲しい。 ただ、明らかに声のトーンが下がったせいだろう。 亨が宥めるような声で言ったのだけれど、そのセリフにも打ちのめされた。 『安藤もさすがにちょっと落ち込んでるから、こっちで一人にする訳にもな……ごめんな』 私だって落ち込んでるよ、と言いたいけど、それがわがままなのはわかってる。 だから我慢してるのに、亨のセリフがまるで拗ねた私を宥めているように感じてつい声を荒げてしまった。
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