手を伸ばす、その先-2-2

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こないだ、とは多分、美佳と一緒に車で送ってもらった時のことだろう。 私を先に亨のマンションで降ろしてから、美佳も家まで送ってもらったとは言ってたけれどまさか連絡先まで交換してたとは知らなかった。 「や、でも、ちょっと待って。芹沢さんに頼むのも気が引ける!」 「それはあんたがさっさと間宮さんに相談しないせい。間宮さんが帰って来てない以上、これは男の人の手も借りるべき状況だと思うよ」 そう、何に気が引けるかといえば芹沢さんにじゃなくて亨に、であって。 美佳の言葉でようやく一つ、気が付いたことがある。 亨にちゃんと相談していれば、芹沢さんに頼まざるを得ない状況だったとしても気兼ねせずに済んだのかもしれない。 「じゃあ、別に服は急がないし……」 「そう? とにかくかけなおして来るわ」 揉めてる間に、着信は途切れてしまったらしい。 騒がしい店内を避けて、美佳は携帯を手に外へ出て行った。
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