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『春妃言いたいことあったらちゃんと……』
「大丈夫だってば、亨気にしすぎ。 お風呂のお湯溢れちゃうから切るね」
言いたいことだらけだ。
でも躊躇ったのは、私だって芹沢さんをマンションに上げてしまった経緯がちらりと頭を過ったから。
結局そんな風にろくに言葉も交わさずに電話を切ってしまい、後になって気が付いた。
亨はホテルに戻ったとは言ったけど部屋と言ったわけではなくて。
ロビーや通路、それこそレストランのフロアに居たのかもしれない。
部屋に戻ってるのだと、私が思い込んでいただけで。
更に言うなら……亨のマンションは自動給湯なので、絶対溢れたりはしない。
―――どんだけ余裕ないの、私。
当然私の動揺は筒抜けだったはずで、後で気付いて顔から火を吹きそうだった。
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