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裏側の悪意-2
跪いた姿勢のままで、芹沢さんの表情が一瞬崩れた。
「その上で、芹沢さんのこと信じてるから頼んだんです。きっと」
苛立ちにも見える、笑みの消えたその顔に私はこれが「正しい」のだと確信して微笑みかける。
「コーヒー」
「……え?」
「おかわり、淹れましょうか?」
そう言った私に、拍子抜けた顔をした。
亨は芹沢さんを信じたのだ。
私は毅然としていればいい。
だから、これが「正しい」。
芹沢さんは、やがて苦笑いを浮かべて「降参」とでも言うように両手を挙げ、私は小さく舌を出して笑って見せた。
「正しいですか?」
「正しいよ。僕は歪んでるから結構効くなあ」
芹沢さんが下手くそな演技で胸を押さえ苦しんで見せた。
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