裏側の悪意-2-2

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床を這いずるようにして逃げ、途中床に落ちていた自分の鞄を見つけて拾った。 廊下側まで逃げて振り向くと、まだソファで鼻を押さえている芹沢さんの背中に向かって叫んだ。 「最悪! 力づくでどうにかしようなんて、ルール違反どころじゃないよ!」 亨の部屋に芹沢さんを残して行くことに、少しだけ躊躇したけれど。 一秒だってここにはいたくなくて、廊下を走ると玄関で靴を引っ掛け転がるように飛び出した。 迷っている時間は、ない。 早く新幹線に乗らなければ。 亨と行き違いになる可能性も十分にあるのに、この時の私は異様に気持ちも昂っていて。 早く会いに行かなければ。 それだけを、考えていた。
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