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床を這いずるようにして逃げ、途中床に落ちていた自分の鞄を見つけて拾った。
廊下側まで逃げて振り向くと、まだソファで鼻を押さえている芹沢さんの背中に向かって叫んだ。
「最悪! 力づくでどうにかしようなんて、ルール違反どころじゃないよ!」
亨の部屋に芹沢さんを残して行くことに、少しだけ躊躇したけれど。
一秒だってここにはいたくなくて、廊下を走ると玄関で靴を引っ掛け転がるように飛び出した。
迷っている時間は、ない。
早く新幹線に乗らなければ。
亨と行き違いになる可能性も十分にあるのに、この時の私は異様に気持ちも昂っていて。
早く会いに行かなければ。
それだけを、考えていた。
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