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ぐん、と急に近付いた顔が至近距離で停止する。
近すぎて良く見えないけど、目が三日月に歪んでいた。
「嫌いじゃないんだけどね、そういう子を黙らせるのも」
どくどくと、鼓動の早さで胸が痛い。
だけど、怯んで黙ってやられるわけに、いかない。
何か、何か行動を。隙を。彼の油断を。
焦りながらも目は忙しなく、その場を脱出するための何かを探す。
そのおかげか、ふっと一瞬、芹沢さんの目が焦点を失ったことに気が付いた。
「……ルール違反、かな」
何を思ったのかそう呟いたその隙に、思い切り頭をあげて芹沢さんの鼻面目掛けて頭突きした。
ガツン、と、言うほどには行かなかったが鼻頭に当たれば、少しの衝撃でも十分だ。
「うっ!」
驚いて鼻を抑えている隙に、ソファと彼の間から抜け出した。
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