悪意の裏側

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同時にたくさんの小さな出来事が頭の中を廻る。 菓子博の時に、何かと安藤に構っていた先輩。 その後からの、安藤のらしくない失敗の数々、まるで出来レースのような催事へのピックアップ。 昼間の安藤の電話の、切羽詰まったような声。 「このままじゃ信頼までなくしちゃうっていうから、だったらもう女として居場所を作らないと全部失うね、てね。気合い入ってただろ?」 自分はどれだけ間抜けだったかと、漸く気付く。 先輩とは大学時代の仲間で確かに女の取り合いみたいな遊びはしたが、面倒見の良い所もあり随分世話になった。 安藤は入社の頃から切磋琢磨して、男も女も関係なく良い同僚だった。
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