悪意の裏側

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「あんたら最初からグルでやってたのか!」 衝動を抑えていたものは綺麗に掻き消えて、気付いたら先輩の胸倉を掴んでソファから立ち上がらせていた。 それでも先輩の顔は怯えることもなく、そのことが余計に怒気を煽る。 「春妃はどこだよ」 「こっちも逃げられちゃったんだよ。凄いねあの子。押し倒して、頭突きで反撃されたのは初めて……」 全て聞き終わる前に、握りしめた拳を先輩の頬骨に打ち付けガツンと鈍い音が身体に響く。 ソファに再び投げ出された先輩は、唇の端から血を滲ませながらこちらを見上げた。
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