悪意の裏側

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「いて……酷いな。鍵を開けっ放しじゃまずいだろうと思って、どちらか帰ってくるの待ってたのに」 「出てけ、今すぐ!」 こんなくらいじゃ、怒りも悔しさも少しも紛れない。 だが、今すぐ春妃を探さなければいけない。 芹沢の腕をつかんで立ち上がらせると、乱暴に引っ張ってリビングから廊下へと押し出した。 あいつの行きそうな場所なら限られる。 ただ、アパートに帰ってたりしたら……思い浮かぶのは、階段下の自転車置き場に引っ張り込まれたあの出来事だった。 芹沢の背中をそのまま玄関まで押し出していると、頬が赤く腫れ始めた顔が振り向いた。
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