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だめなんだ、ごめんなさい。
ここだけは、譲れない。
安藤さんが携帯を隠してまで亨を引き止めたんだ、同僚としての信頼関係を壊してでもきっと……亨に縋ったに違いない。
気持ちを伝えたに、違いない。
それを思うと、胸が締め付けられそうに苦しい。
だけど、絶対に離せない。
「帰ろう、家に」
そう言って急に強く力の篭った亨の腕に、息苦しさを覚えても。
咎めるのは勿体なくて私は深く息を吸い込んで頷いた。
ちょっとくらい苦しくても、もう少しの隙間も嫌なくらいに離れたくなかった。
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