もうひとつの決着

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「じゃ、急ぐか。俺にはこれからの方が大仕事だからな」 亨がこきこきと首を鳴らした。 眉間の皺は少し和らいだけど、少しばかり緊張の色が見える。 「少し遅くなったけど大丈夫か」 「最初から遅くなるからご飯食べてから行くって言ってる。いきなり一緒に食事なんて嫌でしょ」 「え、でも用意してたりしねえ?」 「してないよ、逆に早く言ったらお母さん慌てちゃう」 「じゃあ、食ってからいくか……てか、腹減らねえわ」 亨が大きく深呼吸して、緊張を振り払うように背筋を伸ばした。 私だって、彼氏を親に紹介するのなんて初めてでかなり緊張はしてる。 けど、亨は勿論、それ以上のはずで。
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