もうひとつの決着

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「お前の初めての男と、一緒に顔合わせて気分が良い訳ないだろ」 「うん、だから。怒ってるのかなって」 「怒ってない。腹立ってるだけ」 つまり、怒ってるんじゃんか。 繋ぎ合った手の腕を、抱き寄せるようにして亨に擦り寄った。 「ごめんね、付き合ってくれてありがと」 「ん。これでもう心配ごとないな?」 「うん」 頷いて見上げると、亨が斜めに屈んで額に唇が触れた。 生暖かい湿った風が吹き、雨の匂いを混じらせる。 梅雨の季節がすぐそこまで近づいていた。
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