1476人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「お前の初めての男と、一緒に顔合わせて気分が良い訳ないだろ」
「うん、だから。怒ってるのかなって」
「怒ってない。腹立ってるだけ」
つまり、怒ってるんじゃんか。
繋ぎ合った手の腕を、抱き寄せるようにして亨に擦り寄った。
「ごめんね、付き合ってくれてありがと」
「ん。これでもう心配ごとないな?」
「うん」
頷いて見上げると、亨が斜めに屈んで額に唇が触れた。
生暖かい湿った風が吹き、雨の匂いを混じらせる。
梅雨の季節がすぐそこまで近づいていた。
最初のコメントを投稿しよう!