もうひとつの決着

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「嘘……じゃあ安藤さんと芹沢さんって」 「端から組んでたんだよ。朝からやたらトラブル続きだったのも俺の携帯も財布も全部、芹沢の指示」 腹立たしさが亨の拳に顕れて、ドンドンとテーブルを叩いていた。 亨は、芹沢さんを『先輩』とは呼ばなくなった。 出張先から連絡もできないままに新幹線を降りて、会社かマンションのどちらに私がいるかで亨は迷ったらしい。 そしてまずは近い方から、と先にマンションに戻ってみると灯りがついていて、安心したのも束の間。 中に入ると芹沢さんがソファに座っていて、亨と目が合った途端。 「ああ、もう帰ってきちゃったか。安藤も不甲斐ないな」 と、鼻をティッシュで押さえながら、にっこり笑ったらしい。
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