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あの日、両親に一緒に住みたいと伝えた時、お父さんは静かに亨の話を聞いてくれた。
中学の同級生に待ち伏せされたりと、怖い経験をしたことも少し話して、今後はそんなことが起きないように傍で守りたいと言ってくれた時は、私の方が泣きそうで。
泣くと思ってたお父さんは、案外冷静だった。
「口約束でもいいから、婚約という形をとって間宮さんのご家族ともきちんと挨拶すること。そして、帰ってくる時は間宮さんも出来るだけご一緒に……条件はそれだけです。娘をよろしくお願いします」
そうして静かに頭を下げ、呆気なく私達の同棲は許された。
「ちょっと、アンタ料理とかできるの? 私殆ど教えてないわ!」
と、お母さんが一人台所で狼狽えていたけど、失礼な。
私だってずっとひとり暮らししてたんだし、一通りのことはできる。
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