溺愛

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「じゃあ、先にご褒美ちょうだい」 俯く春妃の顔を覗き込んで、そう言った。 すると拗ねた顔にプラス警戒の色を滲ませて、こちらを伺う。 「……何?」 「ご褒美って言ったら、決まってるだろ」 嘘。 本当は決まってない。 別に春妃からくれるなら、キスだけでも構わないけど……色々とこなれてきたからそれくらいじゃ動揺もしないだろうし。 それなら、少しグレード上げてもいい。 春妃の顔色を観察しながらじっと反応を待っていると、不意に顔が近づいて唇が重なった。 「……」 それは、数秒。 優しく唇が触れて、春妃の目は伏せがちではあるけど薄く瞼を開いていた。
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