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私は死体を見ました。 その死体は美しかったのです。 驚いたようにカッと見開かれた目に。 何を最後に遺したかったのでしょうか? 口は開いていて何かを伝えようとしていました。 でも、それは届かぬ夢。 私は膝が土に汚れるのも厭わずに彼に触れました。 その手で彼の頬をそっと撫でたのです。 「○○○」 名前を呼んでも返事をしてくれません。 いつもみたいに笑いかけてくれません。 なぜでしょうか。 嗚呼、死んでいるからですね。 私は、勘違いをしていたようです。 結局、死んだら終わりじゃないですか。 結局、みんな、狂っていくだけじゃないですか。 誰が、彼を、殺したのでしょうか? 彼自身が彼を殺したのでしょうか? 嗚呼、解らなくなりました。 一つだけ解るのは。 彼が死に私は酷く 酷く 酷く 酷く 悲しんでるということ。 私は彼を愛していたのです。
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