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俺は結局、何も護れなかったみたいだ。 昔みたいにただ三人で仲良くしたかっただけなのに。 ○○○はあいつを泣かせた。 雨の降る日、古ぼけた喫茶店であいつに告白された。 なのに、あいつは。 「僕は君とは釣り合わないよ。もっと、良い男がいるから」 どこぞのラブコメのような台詞を吐き席をたった。 それだけでも酷いというのにその後、○○○は告白したのだ。 あいつに。 俺は初め、安堵した。 嗚呼、収められるべき場所に鞘は収まったのだと。 それなのに。 付き合って数ヶ月。 幸せの絶頂期。 あいつが泣きながら俺のところにきた。 「○○○が、浮気していました。どうしたら、いいんですか?! 」 子犬を拾った少女にやさしくしたのが運の尽き。 その優しさは少女にとっては眩しくて暖かいもので。 また、告白されたらしい。 そして、あいつは受けたらしい。 僕が幸せにしなきゃいけないんだ。あの子犬も一緒に。 ラブコメの読みすぎだ、バカヤロー。 そう言いそうになった。 神様、アイツはなんか悪いことしたのか? だから、アイツにあんなこと言わせたのか? 泣きながら。 ○○○に 「嫌い、嫌い、貴男なんて大嫌い! 」 少女はおろおろして。 ○○○は驚いて。 俺は……。 憎い。 俺だってアイツが好きだった。 っていうか、アイツ以外の女なんて興味がなかった。 コロコロ笑うし、他の女みたいに変な色気がない。 男友達みたいにギャーギャー騒いで。 そう、三人で。 俺は、今さっき、○○○と会っていた。 ○○○に久しぶりに三人で遊びたいと言ったのだ。 ○○○は電話の向こうではしゃいだように二つ返事をすると俺の指定した場所に来た。 「あれ? ××は? 」 「来ねえよ、あいつがおまえを許したと思うか? 」 「え……? 」 「代わりに俺がてめーを罰してやるよ」 向けたのは拳銃。ガキの頃の射的を思い出す。 ○○○の心臓が俺の今日の景品だ。 しっかり、獲ってやるよ。 その腐り切った心臓をな。 放たれた弾。直線をなぞってあいつの左胸に飛び込んだ。 ○○○は自分の胸を見ることなくゆっくりと倒れこむ。 小さく何かが聞こえた。 俺は何も聞こえなかった。 何も聞きたくなかった。 ただ、憎かった。 憎くて 憎くて 仕方なかった。
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