不器用な恋

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静まり返った世界。 誰一人として音を発しない静寂の世界。 その世界を支配する、神にも等しい存在が、ゆっくりと口を開く。 「判決を言います。 被告人を懲役三ヶ月、執行猶予六ヶ月とする。 主文。 被告人は、被害者を、自身の欲求のためだけに付け回し、被害者に恐怖を与え、精神的に追い詰めた。 しかし、初犯であり、罪を反省し、謝罪の態度もみられることから、執行猶予つきの判決とした。 なお、被告人は今後一切、被害者に近付くことを禁止する。 以上をもって判決とする」 判決を言い終えると、法廷における神、裁判官は退室していく。 続いて、検事さんも。 弁護士さんは、 「執行猶予がついて良かった」 と、微笑みかけてきた。 その微笑みにどう返していいのか分からず、かといって、黙っているのもおかしい気がして、とりあえず、私も微笑みを返した。 そして、私も、弁護士さんに連れられ、法廷を後にする。 こうして、私のストーカー行為による一連の裁判は幕を閉じた。
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