私の知らない色

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表に出ると、秋の風とは名ばかりの生温かい風が頬を撫でた。 今年は夏が長く、いつまでも暑さを引き摺って、アスファルトにもまだ熱がこもっている。 街ではまだ半袖姿の人も多く、秋の訪れを感じるのはまだ先のことになりそうだった。 「結婚出来ない女の典型か……」 ふと眞辺の言葉を繰り返した。 眞辺には反論したものの、このままでは本当に結婚できない女になりかねない。 その可能性は否定できなかった。 なぜなら、 結婚に至る前の、恋愛することを拒んでいるのだから。
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