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そうこうしている間に、部活は引退。受験勉強が始まったから、と私たちの関係は進展のないまま、先輩は卒業していった。 中学二年生だ。 当然といえば、当然なのかもしれない。 親に彼氏ができたとも言っていなかったし、そもそも言いづらかった。 こんなものなのかな、と、私も何も考えていなかった。 情報量の少ない時代だったし、周りで彼氏がいるのは私だけだったから、相談する相手もいなかった。 先輩が卒業後、全寮制の高校に行くから、と映画を見に行ったのが、初めてのデートだった。 メールと電話しかしていなかった私たちはぎこちなくて、私から好きという言葉がないせいか、不自然な距離感だった。 でも、私はそんなものなのかと思っていた。 この、メールが届くまでは。
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