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プロローグ
その命の意味を、永遠に忘れることはない。
赤い呪いが守る、赤まみれの手。
ヒトの命を食らう、呪われた少年の……最初の希みも最後の願いも、結局は一つだと。
赤い御使いの告げる希みに、少年はただ耳を塞ぐ。
「殺したい、ヒトを殺して――何が悪いの?」
それは何と間違えた願いの、昏い嘘であることだろう。
「殺したくない、ヒトを……何で殺すの?」
最初からずっと、そうだった。
虫を潰すほどにも、心は痛く、悦びは感じなかった死神の願い。
昏い地の底。何より死に近い場所でやっと、「死」を刻む少年は「生」の痛みを叫ぶ。
その命の意味は決して、永遠に忘れないと。
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