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「わからないことあったら、何でも聞いてね。月君」
「はい」
「……」
「……」
や、ヤバイ。この子どっちだろう。
話すの嫌いなタイプか、話しかけたら打ち解けるタイプか。
「漢字は?漢字どう書くの?」
「何がですか?」
「あ、ごめん、名前」
「ああ、天体の月に、春夏秋冬の秋に、朗らかじゃない方の郎で、月秋郎です」
「へぇ~。風流あるね?」
「そうですかね」
「あるよ、あるある」
「……」
「……」
待て、まだ8時20分だぞ?
あと10分も空白時間があるぞ?
だ、誰か来て!死ぬ!死んじゃう!
会話が!会話が続かない!!
私がヒヤヒヤしていると、月君は立ったままスマホを取り出し、いじり出した。
いや、いや君。
アルバイトでしょ?新人でしょ?私一応上司だよ?
もうちょっとこう、なんか、あるっしょ?
私の中でヒヤヒヤとイライラが混ざり合う。
月君の態度によって。
「……来るの早すぎました?」
「え?」
声が、喉から飛び出た。
月君はポケットに、スマホをしまった。
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