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。。。。。 ドラッグストアにはレジがいくつかあり、1番前のレジを開けておくのが基本だ。 その1レジに、実習生の月君と、もう1人のアルバイトさんがついた。 私はフリーだ。裏方の仕事をやる。 朝はパートのおばちゃんもいるし、月君みたいな若いアルバイトさんもいた。 客数報告などをする朝礼が終わると、『実習生』の下に『笑顔で努めます』と書かれた名札が貼られた月君と目があった。 無視する訳にもいかんだろう。 「頑張ってね」 「はい」 月君はそっけない返事。 うう……怖いんだって顔が。月君。 笑顔で努めてないじゃん、大丈夫なの……? 店長に怒られるんじゃないの?大丈夫なの……? と、私は心配してたけど、杞憂だった。 「いらっしゃいませー」 月君は営業スマイルが得意だったのだ。 私だけじゃない。みんなびっくりしてた。 え?月さんって笑うんだ、みたいな顔してた。 月君は笑うと、少年みたいだった。 ホームランが打てた野球少年みたいな感じだ。 レジの近くを通るたびに、野球少年がホームランを打っていた。
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