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私はショートヘアの頭をグルリと一撫でし、松原君にベルトを渡した。
「ああ、ありがとう真理子」
「んーん」
顔が近づいたけど、お互い視線をズラした。
キスはしない。
なぜなら、キスは恋人とするものだと思うから。
と、私も松原君もガッテン承知の助なのだ。
仕事にも熱心で、人懐こい顔立ちをした松原君。
大学、会社、まだだけど結婚……色んなことを早いうちから考えてきたプランナーだ。
自分の決めたレールを渡れるって、すごく尊敬する。
私の電車は、脱線してばかりだから。
高校、大学共に通信だった私は、気分転換にとテニスクラブに通った。
大学で始めたテニスは、なかなか上手くならなくて、今でもたまに雑誌を買ってしまったり、錦織選手が出てるテレビは見てしまう。
未練がましい女なのかな、私。
大学を出てからはあまり就活が上手くいかなくて、最終的に落ち着いたのがドラッグストア。
薬が売ってるスーパーみたいなところだ。
家近いし、給料も私は満足している。
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