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「真理子ってさー」 「ん?ハイハイ」 「雲みたいなキャラだな。空の雲」 「く、雲?待って松原君、私雲なの?」 「なんかたまにいるんだよお前みたいなやつ。 ふわっふわしてるくせに、全然着飾ろうとしない感じ?」 「……よくわかんないけど、ありがとう」 私は首を何回も傾げながら礼を言った。 私は「雲みたいなキャラ」だそうだ。 雲かー。雲。白くてモコモコ。 雨降らせたり雷鳴らしたり、増えたり減ったり。 むしろ天体の方が好きだから、雲はよく知らない。 太陽みたいな人だ、とはよく言うけど。 雲はあんま聞かないなぁ。 太陽は明るいけど、雲は……掴みにくい、とか? 掴みにくいキャラ? 「……褒めてなくね?」 「褒めてるよぉー。じゃーね。いつでも電話ちょーだい。真理子っこ」 私の乾いた言葉をさらっと流し、松原君はドアを閉めた。 ま、真理子っこって。 ちょっと苦笑。 水色の下着姿で、私はありったけの背伸びをした。 中井真理子、28歳。 あと2年でアラサーという奴でございます。 ちなみに松原君に恋してます。
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