溺れるふたつの体

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  よかねえよと 抗議の意を込めて言うと、 志緒はすべて判ったように くすくすと肩を揺らした。 ……転がされている気がする。 屈辱だ。 ひとつひとつ紐解くように 自分の本音の断片のようなものを、 俺が語る。 志緒は頷きながらそれを聞いた。 ──そう言えば、 昔はこの逆のことをよくしていた。 ことのあと、 ベッドの上でごろごろしながら 志緒は俺を覗き込み、 何が嬉しいのか 微笑みながら学校であったこと、 友達と話したこと、 自分が何を思ったかを ひとつひとつ取り出すんだ。  正直、しょーもねーこと 話してんな、なんて 思っていたこともある。 .
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