溺れるふたつの体

14/40

1190人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
  あのくそちびが こんなに大きくなって、 可愛くなって、 エロくなって、 いやってほど俺を 揺さぶり誘ってくるとか。 きゅうきゅうと甘く啼く 心の内に静かに悶えながら、 はたと気付く。 ──てめえ俺の、 あのキッチンドランカーの 気持ち悪いトラウマ、 いつのまにか 拭ってんじゃねえぞ。 「クソが……。 志緒、絶対許さねえ」 「ちょっと待って……」 可愛いのと愛しいのと 悔しいのとで、 抱きしめる腕に思わず 力が籠もる。 このまま絞め殺したら 気持ちいいだろうな、 とかうっかり思う。 どうして俺の衝動は こうも物騒なのか。 「女のことなんかで、 絶対自分のペース崩すかって 思ってたのに、 ……お前のせいだ」 「え……」 .
/40ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1190人が本棚に入れています
本棚に追加