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志緒の大きな瞳を覗き込むと、
同じように視線を返される。
こんなそばで
志緒の視線と交わると、
初恋を覚えたての
青臭いガキみてえに、
胸が高鳴って痛いし、
背中の辺りが心細くて
逃げ出したい気分になる。
その瞬間、志緒がふるりと
小さく震えた。
鼻先を掠めていく香りは、
いつかと同じ紅茶みたいな甘いあれ。
「俺のこと、
こんなふうにしやがって。
絶対許さねえぞ……」
「え、あの……拓海さん……」
誘われるままに顔を寄せ、
耳朶をやわく食む。
「あ、んっ」
ぴくりとしなる体を
さらに抱きすくめ、
腹と腹を完全に密着させた。
服越しの体温がもどかしくて、
思わず舌を伸ばす。
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