溺れるふたつの体

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  ──理解しようとすることが 大切なんだ、 なんて欺瞞の匂いしかしない おためごかしにも興味はない。 一個の人間が 理解しようがしまいが、 他の人間や価値観は いくらでも存在している。 ああだこうだと口にするのは 野暮で仕方がない。 俺は自分のことに 干渉されるのはごめんだ。 だから他人にも干渉したくねえ。 これは冷たいようでいて、 尊重と寛容ってやつだ。 ──だが。 「なんか理由があって、 俺かお前がここから 離れないといけなくなったとしてもだ」 「う、ん」 ひとつひとつボタンを 弾いていく動作が、 果実の皮を剥く時と 似てるような気がしてくる。 .
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