1190人が本棚に入れています
本棚に追加
/40ページ
「どうしますか」
「……出る」
「でしょうね」
はああああと盛大に
溜め息をつきながら、
カズヤは手元のタブレットで
ささっと先方に返すメールを
作ってしまう。
女子中学生や高校生に
負けないビジネスマンの早業よ。
「ところで、拓海」
「ん?」
「イベント出演の件は
これでいいとして、
あちらのお偉方に
挨拶をしないわけにはいかないと、
俺は思うんですが」
「……何とも、
人の罪悪感を刺激する
言い回しだな」
「当たり前ですよ。
あなたの全身が売り物でなければ、
とっくに一発くらい
入れてると思います。
嫌味のひとつくらい言わないと」
ひたすら敬語を貫くカズヤに、
背中の辺りがひやりとする。
.
最初のコメントを投稿しよう!