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「何なんだ、
この回りくどさ」
部屋のど真ん中に
備え付けられている
高そうなソファーに
ふんぞり返って座っている
その男を見て、
俺は挨拶など
すっ飛ばして問いかけた。
「拓海!」
慌てて、カズヤが俺を止める。
──が、
40を過ぎたあたりにしか
見えない男は、
ハハハと声を上げて笑った。
ゆっくり立ち上がりながら、
俺を見る。
──間違いない。
俺の知る藤堂春海、その人だ。
9年分年齢を重ねた
その人はそれでも若々しく、
最後に会ったあの時とほとんど
変わっていないように思えた。
彼は、
じっと見つめ返す俺を見て
ふわりとやわらかな微笑みを浮かべる。
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