溺れるふたつの体

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  ゚・*:.。..。.:*・゚・*:.。..。.:*・゚ 「何なんだ、 この回りくどさ」 部屋のど真ん中に 備え付けられている 高そうなソファーに ふんぞり返って座っている その男を見て、 俺は挨拶など すっ飛ばして問いかけた。 「拓海!」 慌てて、カズヤが俺を止める。 ──が、 40を過ぎたあたりにしか 見えない男は、 ハハハと声を上げて笑った。 ゆっくり立ち上がりながら、 俺を見る。 ──間違いない。 俺の知る藤堂春海、その人だ。 9年分年齢を重ねた その人はそれでも若々しく、 最後に会ったあの時とほとんど 変わっていないように思えた。 彼は、 じっと見つめ返す俺を見て ふわりとやわらかな微笑みを浮かべる。 .
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