溺れるふたつの体

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  「……驚かせて申し訳ない。 凰坂と申します。 例の実行委員長を やらせてもらっています」 凰坂と名乗るその男は、 俺と見比べてから カズヤに頭を下げた。 俺とそいつのやりとりに 呆然としていたカズヤは、 挨拶が遅れたことを 詫びながら名刺を差し出し、 深々と頭を下げる。 ──そういや俺、 今日はお願いしに来た 立場なんじゃなかったか。 軽く悪態をついてから 本題を思い出したが、 やはり腹の中の モヤモヤは治まらねえ。 「説明、しろ」 「……お前、もうすぐ30だろう。 いい加減口の聞き方を 覚えないか。 目上の人間に対する 言葉遣いがなっていない」 「目上だと俺が思ったら 敬語くらい使ってやるよ。 だから、説明しろ」 .
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