溺れるふたつの体

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  「お前の脳みそはザルか。 ……本当に 食えるか判んねえのに、 そんなとこに 高校もろくに出てないお前を 連れ出せるわけねえだろ。 だからお前の気持ちに賭けた。 ……お前が自分で来るって言うなら、 どんなことしてでも 食わせるつもりでいたから」 「……拓海、さん」 「なのにお前、全然来ねえし…… 高校出た頃になっても、全然。 そうしたら誠司が 志緒は自分のもんだって 言うじゃねえか。 お前は俺のだって 教え込んだつもりではいたけど…… お前のことなんて判らねえし、 ああもう終わったって思った」 せっかく拭ってやったのに、 志緒の瞳の端がまた涙で濡れる。 泣かしてないのに、よく泣く女だ。 「……待ってたの?」 おまけにとんでもない確認を しようとする。 .
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