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「ずっと……?」
羞恥心なんてものは
ないはずで。
それなのに、
志緒の前にいると
どうやら俺にもあったらしいと
判らされる。
恥ずかしくて苛々してくる。
思わず爪を噛みかけた。
「……それだけじゃねえよ。
お前が大人になるの、
じっと待ってた。
……ああ、くそ」
だんだん腹が立ってきて、
志緒のシートベルトを
力任せに引いて固定する。
自分のもそうしてから、
エンジンをかけた。
車を出しながら、
火の点いた羞恥心を持て余す。
俺の頭の中が
自分でいっぱいだったと知って、
べそべそ泣いているのが、
最高に可愛い。
──この苛々、お前に
出さねえと治まらねえよ。
クソが。
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