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俺がママチャリに跨った瞬間、ポツリ、と水滴が鼻の頭に落ちて来た。
空は晴れて澄み渡っているのに。
心配げにいつまでも手を振っている二人に、黒いこうもり傘を持つ手を軽く振って、別れを告げ、
無人駅に続く田んぼの中の真っ直ぐな砂利道を、軽快に飛ばしていたその5分後。
突然、ハンドルが右に取られて倒れそうになった。
降りて確認すると、前のタイヤにぶっ太い五寸釘が刺さっていた。
抜いた釘とぺしゃんこになったタイヤを見比べて溜息を付く。
今日は、厄日か?
ブルブルと頭を振って弱気を吹き飛ばし、
濡れるのも構わず傘を畳んで前かごに突っ込み、パンクしたママチャリに跨る。
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