11人が本棚に入れています
本棚に追加
とにかく、時間が、ない。
暴れ馬のようなママチャリを、一心不乱にこげば、
遠くの田んぼの真ん中にポツリと建った、無人駅の青いトタンの外壁が視界に入る。
ローカル線の二両編成の赤い電車が、警笛を鳴らしながらゆっくりと駅に入って来るのが見えた。
ぎりぎり間に合う!
そう思った瞬間、がちゃりと言う嫌な音と共に、ママチャリが止まった。
チェーンが、ブッツリと切れていた。
結果。
俺は、電車に乗り遅れた。
次の電車が来るのは1時間後。
俺は駅舎の中、デイバックを枕にベンチに横になると、さっきの予定外の運動も手伝ってか、心地よい倦怠感に包まれて、すぐにウトウトと眠りの中へ落ちて行った。
最初のコメントを投稿しよう!